感覚過敏を「一病息災」という言葉で考える

聴覚過敏・感覚過敏を持っていると苦しい時も多いので、多くの当事者(本人)とご家族は「早くこれを無くしたい」と思ってしまうことが多いと思います。

6,7年前から一人の東洋医学の先生について体を整えることを学び続けています。
「体は完全に整ったら全く気にならなくなる」がゴールだと思って始めたのですが、最近そうでもないことに気が付きました。

どうやらゴールは「体は常にバランスを崩すものなので、敏感に崩れに気がつき崩れが小さいうちに立て直す」、今の先生が教えてくれているのはこっちのようです。
確かに体の状態は毎日違います。気分でも変わるし、気圧や天気でも変わるし、座りっぱなしの時間や画面を見続けている時間が長ければまた変わります。
朝起きた時からどんどん疲れて夕方にはヘトヘトだったりもします(お年寄りが朝に散歩したり走ったりするのはここが理由かも)。

小さい崩れのうちに気がつく、というのは聴覚過敏・感覚過敏の人たちにおなじみのことだと読んでいて思う人もいるでしょう。
でも、聴覚過敏・感覚過敏の人たちは、「自分だけが違うから」「みんなは気にならないから」「誰も今ここで苦しいなんて言わないから」と常に我慢してしまっています(または常に我慢させられています)。

我慢している状態が長期間続いていると、自分の体のセルフモニターができなくなり、自分のバランスがとれているのかいないのか分からなくなります。外の物差しで自分の状態を測ろうとする、そんな感じです。

聴覚過敏の子たちと面談することが多いのですが、「家や学校のどこがうるさいですか?」と尋ねても「さあ?」「別に?」「うるさい時もあるけど静かな時もある」など、周囲に合わせようとして自分の感覚を信頼できなくなってるみたいな返事がよく返ってきます。

聴覚過敏・感覚過敏は、あなたの感覚が振り切れそうになっている状態です。
この状態から抜けることとは、「過敏さを下げ、過敏さを自分でコントロールできるようにする」ことです。

小さい疲れに素早く気がついて、自分で休憩を取れるようにすること。
息が止まっていることに気がついて、大きくゆっくり息を吐いて体を緩めてあげること。
集中することで体を無視しないで、体の強張りや痛みに気がついてケアしてあげること。
1日の終わりにはしっかり体をほぐして、良い睡眠を取れるようにすること。
調子の悪い日は無理せず、60パーセントくらいの力で過ごそうと決めること。

これらをいう良い言葉はどこかにないかしら、と思ったら昔の人たちの知恵の中にありました。

「一病息災」

病気のない人たちよりも、一つ病気があるくらいの人たちの方がセルフケアもしてあげるから健康に過ごせますよ、と。
HSPハイリーセンシティブパーソン、聴覚過敏・感覚過敏の皆さん、自分の状態にもっと敏感に。そしてそれをどんな風にケアして大きな崩れに繋げないようにするか、こっちを大事に。

急に気温が下がりました。喘息、アレルギーの人たちにしんどい気候です。

どうぞ今日もご自身の体と気持ちを大切に。