本の紹介「自己肯定感で子供が伸びる 古荘純一」

古荘先生は小児科医で30年以上子供のメンタルヘルスに関わって下っている先生です。
「子供のクオリティオブライフの国際比較」を実施し、Kid-KINDL子供のQOL尺度日本語版を作ってくださった先生でもあります。

国際比較して見ると、日本の子供たちは「年齢が上がるほど自己肯定感が低くなる」ことがはっきりし、何度かニュースにもなっています。それを元に文科省も学習指導要綱を修正したりしているはずなのですが、未だに「日本の子供の自己肯定感が上がってきた」と言う話は聞かれません。

ではこの自己肯定感、なぜ海外ではきちんと育ち国内ではうまく育てられないのか。
親としてどうすれば子供の自己肯定感を上手に育てていけるのか。
その辺りをとても上手に読みやすく書いてくれている良書です。

第1章そもそも「自己肯定感ってなんですか」
第2章子供の脳と「自己肯定感」の関係
第3章なぜ「自己肯定感」が子どもを伸ばすのか?
第4章「自己肯定感」が高い子、低い子の違いって?
第5章親の「聞く力」が子どもの「自己肯定感」を高める
第6章日常の難しい場面で子どもの脳を傷つけない対応のヒント
第7章生活習慣の中にひそむ地雷を踏まない方法

個人的にが先生すばらしいなあと思ったのは、第4章と第6章。

第4章は子どもの「自己肯定感」を四つのタイプに分類しています。
自己肯定感が安定しているタイプを「理想的」
自己肯定感が不安定なタイプを「下がった時に問題が起きやすい」
自己肯定感が高すぎるタイプを「自分勝手」
自己肯定感が低すぎるタイプを「被害者意識」
各々のタイプの例と対応の方法が詳しく書かれています。
ここを読むと子供と自分の「自己肯定感」が読み取れていくかもしれません。

第6章は「しつけ編」「日常編」「勉強編」に分かれていて、親たちのお悩み相談で出てくるたくさんのことに先生が答えてくれています。

さて、みみいくとしてテーマにすべきは第5章「親の聞く力が子どもの「自己肯定感」を高める」でしょう。古荘先生がとても丁寧に書いてくださっています。少し覗いてみましょう。
最初に子供への態度としてまずは「しっかり聞く」ことが何より大事とレクチャーがあります。
それから子どもの話を「しっかり聞く」には?と、そもそも「しっかり聞く」ってどう言うこと? と言う親の疑問に答えてくれます。
そしてそんな風に親が一手間かけなくてはいけない理由は(親の側がコミュニケーションのパターンを変える必要がありますからね)「自己肯定感」を育てると言う視点で接することが必要だからなのだと説明してくれます。
さらに先生は親の側にも一歩踏み込んでくれますよ、子どもの心の不調に、親の「自己肯定感」が関係していると言う話をきちんと書いてくれています。
そして親の期待を押しつけず、子どもを肯定的に受け止めることが子どもの「自己肯定感」を伸び伸びと育てるために欠かせないのだ、と短い言葉でまとめてくれています。

20ページくらいの中に、さらさらりと必要なことが書かれていて、今子供となんだかうまくいってないので困ってる保護者の方は、ここだけ読んでもためになると思います。
帯の裏側もキャッチーですので貼っておきますね。