思春期の子どもとの距離感

お悩み相談を頂きました。公開の許可をいただきましたので、同じことで悩んでいる保護者の方のためにシェアとして載せさせていただきます。

登校しぶりのある中学生のお嬢さん、お勉強は得意ではありません。ママはひょっとして彼女には勉強が苦手以上の何かがあるのでは、と感じていますが、そんなふうに感じられていることも本人は気に入らない。それはそうです、本来丸ごと全部受け入れてくれるはずの母親から疑われている感じがするのですから。

「死にたい」とかボソッと言われちゃうと、もうどうしていいのか分からなくなっちゃうんですよね。
と、ママも相当お疲れモードです。

こんな強い言葉を聴くと、当たり前ですが親はうろたえます。心配します。悩みます。
それでいいと思います。

意図的に親を試しているわけではないのですが、
「この私の漠然とした不安/絶望/無力感/苦しみに付き合って欲しい。巻き込まれて欲しい。私と同じくらい苦しんで欲しい」
と言う気持ちは無意識の方にあるのではないかと思います。

思春期は親離れの完成の時期です。
今までの親との距離が近すぎると感じる時、子どもたちはいろんな形で距離を取ろうとします。親といる時間より友達といる時間が伸びていくのも健康な親離れによる変化です。

親と距離が出たことで、安心感、安全感が足りなくなって、不安や心配が上がることもあります。
でも前みたいに「おかあさ〜ん」と泣きつくのもかっこ悪い、ブライド、自尊心が許しません。今までみたいな親から得られる安心感、安全感では足りない、と言う気持ちもあります。

しかし苦しいものは苦しい。答えも出ない。解決もしない。そんな時、親に八つ当たり的な発言が増えます。
「私を心配して欲しい、私と苦しみを共有して欲しい」と言うのは実はかなり小さい頃の気持ちです。
転んじゃって膝をすりむいて痛くて泣いてるのに、ママはちょっと笑ってたり、だから言ったじゃないなんて小言を言う、そんなのひどい、どうして一緒に痛くなってくれないの? わかってくれないの、とさらに爆泣きする。この八つ当たりという名の壮大な甘え。

その線から中に入らないで欲しい、だけどそれ以上離れて欲しくないし、ちゃんとこっちを見てて欲しい。
こんな風に書くと、2歳のイヤイヤ期にも似てますね。
「自分で」と「ちゃんと見てて」の二軸で世界をコントロールしたい2歳児の気持ち。

なので、ママとしては、①振り回されすぎてご自身が疲れちゃわないように気をつけつつ、②巻き込まれて一緒に悩んだり苦しんだりしてあげる時期だと思って付き合う、のができるならいい方法かなと思います。

見ないフリや無視は危険です。
向こうも命がけで思春期ですから、ご心配なさっている自傷行為や行動化(違法行為などしてしまうこと)にエスカレートする可能性も絶対ないとは言えません。

身体性の薄さ、自分がここにいる気がしない感が上がる子もいますので、身体に働きかけることも良い方法です。
甘いもの好きならケーキバイキングで幸せなひと時を。
歌好きならカラオケで好きなだけ。
旅好きならちょっとコロナも落ち着きつつありますから旅を。

それをしたからって、急に良くなるとかすっきりするとか、思春期はそんな甘いものではないです。これでいいでしょう、満足したでしょう、なんて態度を見せると多分また前より荒れます。
が、永遠に続くと思われるつまらない中学生の日常に非日常を持ち込むことは、お嬢さんの救いにもなります。

母はしっかりセルフケアを。
心の中に抱え込みすぎないようにしてください。
母も運動大事、感動大事、嬉しいこと大事、吐き出せる場所大事。

まだ嵐は続くでしょう。無理なく。お元気で。