昨日の朝日新聞デジタル版で、中学生の聴覚過敏の方による運動会のピストル音を笛に変更してもらえたニュースがありました。聴覚過敏も聴覚鈍麻も、そもそもの状態を緩和することが可能です。このことを念頭においてからお読みください。
聴覚過敏の方々は本当に辛い日々を過ごしています。
いつ大きな音がするかわからない、ということで不安や恐怖に一日中おびえている状態。イヤーマフやノイズキャンセルヘッドホン/イヤホンを使って身を守っている人がほとんどではないでしょうか。
原因はいくつかあるようだ、とたくさんの聴覚過敏の方々を見せていただく中で感じています。耳そのものが良すぎて他の人たちが気にならないような小さな音まで拾ってしまう方、耳の「ボリューム調整機能」の働きが弱い方、音に関して嫌な思いをしてトラウマになってしまっている方、聴覚のアンバランスから大きく聞こえる音と小さく聞こえる音のムラがありどちらに合わせれば良いかわからなくなっている方、まだまだグループはありそうです。
どの場合でも、体は常に緊張しています。脳も過剰な刺激にいつも身構えているためヘトヘトです。一日中音のことばかり気にして集中力も発揮できません。音情報の正しい処理力も低下します。そしてストレスが高まると過敏さはさらに高まります。
では、聴覚鈍麻といわれる状態は?
実は同じカードの裏表である可能性が最近の研究でわかってきています。あまりにたくさんの音情報を同時処理しきれずにこぼれてしまうと、ぼーっとして見える、ちゃんと聞いていない、一度で理解できない、などの状態が出来上がります。実はやはり上に書いたような聴覚過敏の人たちと同じような聴覚の状態である人たちがたくさんいます。WISC、WAISといった心理検査は言葉をたくさん使うので、聴覚より視覚優位ですね、と言われ、視覚情報を多く使う支援に切り替えられがちです。
でも最初に書いたように、聴覚過敏も聴覚鈍麻も、そもそもの状態を緩和することが可能です。みみいくのトレーニングでは12年間、聴覚過敏、聴覚鈍麻も含めて様々な状態の聴覚をケアしてきました。ストレスもトラウマも、聴覚にダメージを与えます。その結果本人のパフォーマンスが落ちてしまうことから鬱っぽさにまで繋がることもあります。
読んでピンときた方は、一度センターにどうぞ。mimiiku.tomatis@gmail.comまでお名前、連絡先、現在の状態について書いて送ってください。今のその苦しさは、聴覚、心理、身体と呼吸・声の状態からトータルにケアを行なうことが可能だということを知ってください。
そして最初のニュースの中学生のように、聴覚過敏に関してはまだ周囲の知識が不足しているので、丁寧な作戦を立て、勇気を出して、環境を変えていくことは当事者である子供またはあなたが生きやすくなるための方法です。そこの相談にも乗ります。
ニュースの中学生、お疲れ様。運動会楽しかったかな。