息子の中学受験の時に、「受験する学校は3種類用意すると良い」と私はアドバイスをもらいました。

一つ目は絶対に入れる学校。
(中学受験なら公立中学があたります。高校受験の時はちょっと心配ですが、東京都で言えば都立高校はその年の受験生全員分の席は用意するらしいので、学校を選ばなければ必ず春から高校生になれます。その上で転校もありです。)

二つ目は自分の今の実力に合っている学校。
当日発熱したなどのトラブルがない限り、受ければ80%くらいは合格の可能性のある学校です。

三つ目はチャレンジになる学校。
受験レベル的には「無理」でも入りたい学校がある時は、ぜひチャレンジさせてあげて欲しいと思います。
だって、それはその子の意思じゃないですか。親が「無理だ」と決める必要はないと思います。結果が親から見えていたとしても、「難しいけど、やってごらんよ」と言ってもらえることは、彼らの成長と自信を伸ばします。
途中で諦めてもいいんです、こんなに勉強したかったわけじゃなかった、って言い出す時もあるかもしれません。そんな時に「だから言ったじゃないの」とは言わず、そんな難しいのによく頑張ったね、と褒めてあげてください。どんな勉強も絶対無駄にはなりませんから。

今までの子たちを見ていると、親の意見で受験を取り下げた時、本人の中には「親が邪魔した、受けられもしなかった」という恨みで残ることが多いです。

 

この意見は私自身が経験したことからも来ています。
私は小学4年から高校3年まで自由教育の一貫校で過ごしました。
大学のない学校だったので受験し、ICUという大学に入学したのですが、模試ではICU合格率は4パーセント以下とか25パーセントしか出せなかったんです。
幸い受験そのものにとてもクセがあり、私がそのクセにフィットしていたので合格できたものの、入ってからはそれはもうものすごく苦労しました。
受験科目が多くて国立大との併願校でしたから同級生はみんな国立校に入るような受験勉強で知識を積んできている。そこに私立文系志望、しかも自由教育の学校に受験指導はゼロ(今はそうでもないようです。学校の名誉のために書いておきます)の学校からのお気楽入試。偏差値、何それ?という状態。高三の担任の受験指導は「先生、私10校大学受けるよ」「そうか、頑張れ」とそれだけでした(ちなみに受けた他の大学は全部落ちました)。
一年生の間は授業についていけずに泣いたこともありましたし、もうやめて別な学校に行こうかと何度も考えました。特に英語学習が厳しい大学です。一年生の間は週13時間英語の授業で宿題も山盛り、英語の四技能全部を一気に磨き、一年間で英語で行われる授業を受けられるレベルにするという大学でした。毎日ヘトヘトの一年間。今思い出しても胃が痛くなります。
それでも。
その無謀なチャレンジを「頑張れ」という言葉で応援してもらったことは、私の何かを育ててくれました。頑張る力になりました。その後のとんでもない険しい道に続いて苦労したけれど、それは自分で撒いた種だからなあという諦めがつきました。
もしそこで「無理だ。もっと入りやすいところを探したらどうだ」というアドバイスがきたら、迷ったかもしれないし、それで諦めていたとしたらICUのことはずっと心に残ったかとも思うのです。

小学生でも中学生でも、きちんと一人の人です。
意思もあれば意見もあります。
それを尊重されることは自己肯定感を高めることです。

そろそろ今年の受験も終わり。
新受験生たちの悩ましい学校選びの時期が始まります。
私の家庭教師の方の生徒も一人受験生になります。
どんな受験も親の受験になりすぎないように、という気持ちを込めて書きました。

頑張れ全ての受験生!