聴覚情報処理障害(APD)に対するトマティスメソッドの効果論文

カリフォルニアのデボラ・ロス-スウェイン教授は大人と子供のための「聞く、コミュニケーションする、学ぶ」ためのセンターをお持ちです。http://www.theswaincenter.com

彼女の2007年の論文「聴覚情報処理障害 “Auditory Processing Disorder: A Summary of the Findings”」の中で、APD(聴覚情報処理障害)の人々に、トマティスメソッドが効果的なセラピーとなり得るかを検証しています。

APD(Auditory Processing Disorder 聴覚情報処理障害)を持つ人たちは、耳鼻科的には正しく聞こえているけれど、聞こえた情報の処理の部分で混乱や処理不足を抱えています。このため、小さい子だと「うまく言語が育たない」、学齢期の子だと「学習に困難を抱える」など、大人になる前に様々な形で苦労の多い困難です。

41人のAPDと評価されている被験者(女性18人、男性23人、年齢は4.3歳から19.8歳)たちは、聴覚情報処理に弱さを持っていました。

彼らに90時間(約三ヶ月)のトマティス聴覚トレーニングを受けてもらい、その後に再度聴覚情報処理のテストを実施したところ、全員がコミュニケーションや学習に必須とされる、即時聴覚記憶(聞いたことをその場ですぐ覚えて使う)、聴覚連鎖(聞いたものと聞いたものを関連づける)、与えられた指示の認知と実行機能(聞いた指示を理解しすぐに実行する)、聴覚弁別(二つの違いを聞き分ける)、聴覚的結合(聞いたものをまとめる)の全てにおいて能力の向上が見られました。トマティストレーニング前の統合的聴覚処理技術は8.41パーセンタイルでしたが,トレーニング後は58パーセンタイルまで上昇。トマティス聴覚トレーニングはAPDに効果があり,コミュニケーション障害への効果も実証できると結論づけています。

日々私のセンターで変化していく子達の変化の内容はそういうことだったのか、と論文を読みながら感動しました。
こんな実証実験を日本でも実施したい気持ちでいっぱいです。