「子供のIQはこれで伸ばせる」というタイプの本を書店で目にするたびに、IQは平均の範囲にある人たちの方が生涯を通じて幸せだともうデータが出ているのになあ、と呟きます。もっと自分の子供に高みを目指してもらいたい親たちには届かないと知っていますが。

IQは今の日本だと子供用のWISC、大人用のWAISという検査で調べるのが一般的でしょう。

WISC,WAISで出されるIQは、本人が取ったポイントが、その国の同年齢集団内でどこにあるかの標準偏差の値です。100が中央値になるように調整が行われ、10年に一度くらい設問の見直しがなされてバージョンが変わります。
現在は大人用WAIS3から4への移行期で、子供用のWISC4は来年再来年あたりにWISC5に移行するところです。IQが80以下だと社会生活で不自由なことが出るかもと言われてますので、IQが120以上でも社会生活で不自由なことが出る可能性があるかもしれません。社会の標準から外れれば外れるほど、摩擦は強まります。

もう一つこのWISC,WAISで大事なのは、本人の内的認知能力のばらつき加減が掴めることです。実は総IQと同じくらいこのばらつき加減が大事です。
ばらつきが少ない人ほど、本人の能力が安定して発揮できます。
ばらつきが多い人は、できることとできないことが本人の中に存在し、できるところで判断すると穴があったり、できないことが気になってしかたなかったりしてしまいます。
ばらつきが強ければ強いほど、この傾向は強まります。

言語が強くて処理能力が低いというのは、ギフティッドの子に割とよくみられる傾向です。喋って答えるのは得意でも書くのに時間がかかるタイプですね。
わーっと出てくる考えや伝えたいことをずーっとしゃべり続けている子たちは、手書きなんて時間のかかることはやってられない気持ちでしょう。
パソコンで漢字なんて一括変換されるのに、10回手で書かなくちゃいけないなんて意味がわからないと思います。

IQの大体の数値と内的バランスは生涯変わらないと言われます。
けれど、WISCもWAISも割と聴く力を要求していますので、ADHD傾向のある人や聴く力の弱い人たちには部分的に低めに出されてしまい、本人の内的能力を正確に計れていない部分もあるのではないか、と私は感じています。

トマティスのトレーニングで聴く力が上がった子たちは、IQの数値が変わるのではないかなあ、とも思うのですが、WISCとWAISは一度受けたら2年くらいは間を空けなければいけないというルールがあるので、トマティストレーニングの使用前使用後みたいな比較ができないのでちょっぴり残念です。