発達、怪我や病気、トラブル、色々な理由があって、一人の子だけに多くの時間をかける子育てになることがあります。
そんな状況の時は親だってギリギリです。自分の子どもの成長や発達への不安は、本当につらいことですから。なので、健康な、または定型発達であるきょうだいの方の子に、お手伝いを頼んだり、過剰に期待したり、手が回らなくてほったらかしになったり、逆に「あなたはできるのだから」と厳しくしてしまったりすることは多いのかもしれません。よくないことだと分かっていても、仕方なくそうなってしまうことも、甘えさせてもらうことも、たまに八つ当たりしてしまうことだってあるかもしれません。きょうだいの方の子に対する親の姿として「年齢以上の役割を取らせている」,「我慢させすぎ」,「対応が厳しすぎる」,「放任気味である」,「期待過剰」,「甘やかし」,「過保護」などが見える、と書かれた研究もありました。
そんな状況に置かれたきょうだいの方の子たちは、親を助けようとして過剰に我慢してしまうことがある、と研究では言われています。その結果、孤独感、不安感、罪悪感、不満やストレスが高まったり、早くからお母さんの仕事を自分の役割にしてしまうこともあるので、病児や発達特性の強い子のきょうだいの方の子にはケアやサポートが必要だとも言われます。
弟が時々入院するほど弱かったので、「一人で大丈夫」といつも笑顔を作っていたAさん。
お姉さんが知的な問題を抱えていたので「あなたはお勉強頑張って」と親から言われるままに厳しい勉強に耐えていたBくん。
妹が発達の問題を抱えていて「僕、妹の面倒を一生見るのかなあ」と呟いたCくん。
お兄さんが引きこもっていて「家は息苦しい、学校も落ち着かない」と話してくれたDくん。
「妹はちょっとしたことで褒めもらえるのに私はどんなに頑張っても褒めてもらえない」と泣いていたEさん。
私の出会ったこの子たちはみんな、大変な思いとともに、親ときょうだいに遠慮しながら生きてきたきょうだいの方の子、サバイバーでした。
もしこれを読んでいるあなたのお家が、とても手のかかる気になる子どもとそのきょうだいのいるお家だったら。
ぜひ、きょうだいの方の子を観察してください。
その子は子どもらしく日々を過ごしていますか?
毎日ちゃんと笑ってますか?
家の中でリラックスしていますか?
本人が困ったり、できなかったり、苦しかったりした時、親が忙しいからと遠慮して我慢していませんか?
直接言葉で尋ねてみてもいいですが、でももうずっと遠慮してきている子だと「大丈夫だよ」「平気だよ」なんて笑って答えちゃうので、大人からはわかりにくいかもしれません。
たまにはきょうだいの方の子を一人だけ連れ出して、ちょっと甘やかしてあげてください。
「いつもありがとう」って言葉も添えて、いたわってあげてください。
とてもそんな気になれない、と言うあなたは、まずあなたの苦労がいたわってもらえていないと考えましょう。あなたに「頑張ってるね」と言ってくれる人や場所をぜひ見つけて下さい。
優しい気持ちは、自分の中で十分に足りた時にあふれてきて、他の人に手渡せるようになるものだと私は思います。どうしても優しい気持ちになれないなら、今、足りていない時です。
私のところに来ているママやパパたちにも、お茶とともにいつもこんな言葉を渡しています。「えらいね」「頑張ってるね」「みてるよ」「疲れてるでしょ、ちょっと休んでいいよ」「いつもお疲れ様」「大変だよね」
そうしてご自分の気持ちがいたわられることで初めて、きょうだいの方の子に感謝したり、きょうだいの方の子の大変さに寄り添うことができる余裕が出てくると思います。
子育て、一人で大変!! と言うあなた。
ちょっとだけ休める場所、寄りかからせてくれる人、話を聞いてくれる人、一人になれる時間を作る仕組み、ぜひ周囲で探しましょう。
あなたが潰れないように。
家族と共倒れにならないように。
あなたと家族みんなが笑顔で日々を過ごせるように。