万博のグッズを万引きした「鉄オタ」と言われる人たちがニュースになりました。
全国の正しい正直な鉄オタの方々が胸を痛めていることと思います。
彼らは鉄オタ界でも「大宮赤ラン軍団」と呼ばれ、窃盗や無賃乗車の常習犯の不良として鉄オタの間でも有名だったということが情報として出てきて、それはどういうことだろうと考えました。
最近のニュースで気になるのは犯罪で捕まった時の犯人(または容疑者)のコメントです。
「気づかれずに盗撮するスリルがあった」栃木県教諭高声38歳女子更衣室の盗撮
「撮り鉄のなかで不正乗車は当たり前」万博のグッズを万引きして捕まった「鉄オタ大宮赤ラン軍団」の大学生
この二つの発言にはモラルの低さがはっきりあります。
犯罪をしないこと、人の嫌がることや困ることはしないこと、この2点がモラルの大きな柱で、これをみんなで守るから社会は成立していると言っても過言ではありません。
けれど盗撮にしても無賃乗車にしても「やりたいんだから仕方ないじゃん」「みんなやってるじゃん」「バレなきゃいいじゃん」彼らのコメントからはそんな間違った自己正当化の言い訳が聞こえます。
犯罪かどうかがわかっていない/理解できていないわけではない、けれど実際にやっていたし、法律違反であることも多分楽しんでいました。
①モラルや法律より自分の気持ちを優先する
②他の人もやってるから大丈夫だと考える
③法律違反でもバレなければ犯罪ではないと考える
彼らの言い分を三つにまとめました。ここには「想像力の低さ」と「否認力の強さ」がある、ということが言えるでしょう。
どんなに女子高生好きで盗撮趣味だったとしても自分の学校で盗撮したのがバレたら、捕まる、名前や写真晒される、刑務所に何年か行く、この先教師できなくなる、親泣く、友達いなくなる、ヤバい、それはやっちゃダメだ、とブレーキを踏めるのは、「想像力」のおかげです。
想像力が弱いと、このブレーキがそもそも甘い可能性があります。
ここに強い「否認力」が加わると、バレないようにうまくやればいい、バレるはずない、こんな完璧なんだからバレない、俺たちはバレない、俺だからバレない、俺だけはバレない、こんな形で認知は歪みます。
今、まだ小さい子に、特に衝動性が強かったりこだわりが強かったりする子に、どうやってモラルを教えればいいのだろう。
悩む保護者の方もいらっしゃると思います。
やはり小さいうち、まだ親の言うことを聞こうとしている思春期より前の間に、しっかり自分のモラルを刷り込んであげることが大事だと私は考えます。
やってはいけないことをしてしまって「なんでそんなことをするのよ!!」と叱られると、子どもは身をすくめて親の怒りが過ぎ去るのを待ちます。
その後「そんなことはしてはいけない」とこちらの怒りがおさまってから理由を教えてあげる時間が、モラルの学びどきだと思います。
何度も何度も根気よく繰り返して、モラルは刷り込まれ、根付きます。
学校ではどうでしょう?
昔毎週あった学級会がモラル教育の一番近い姿だったかもしれません。
学級委員が議題を募り、クラスで問題になったことが議題となり、子どもたちが各々の意見を戦わせ、変な方に行かないように先生はオブザーバーとして見ている、みんなのモラルを擦り合わせてその集団のモラルを明らかにする民主主義的な時間だったのではないでしょうか。
道徳の授業は今ここでの話でもなく自分のことでもないモラルですので、あまりピンと来ないままに「先生の思う正解」を学ぶ場になってしまっています。
思春期に、一度親が刷り込んだモラルが彼らの中で意味を持たなくなります。
思春期とはそう言う時期、刷り込まれた価値観を一度捨てて自分の価値観を探す時期だからです。
不良っぽいこと、ちょっとした犯罪行為、危険なあそび、そんなものに対してスリルを感じてワクワクします。
特に「親を裏切る」ことは、彼らの中で大きな価値があります。自分だけの価値観を作る上で今までの価値観が邪魔だからです。
多かれ少なかれ、思春期はそんな嵐が彼らの中で吹き荒れる時期です。
捨てて探して、その結果また今までと同じような価値観を手にする子どもがほとんどなら親の心配も少なくて済みますが、今の「いくらでも親の知らない情報が手に入る時代」でそれを望むことは相当難しくなっているのかもしれません。
では親のするべきことは?
やはり「これをしてはいけない」「ここまですると犯罪だ」「これはしたら褒められることだ」「ここまでしたら表彰されるかもしれない」など、子どもの前に横たわる世界のさまざまな事柄に「よくないこと(モラルに反するもの)」と「いいこと(モラルに合っているもの)」のラベルを貼って、モラルに合っているものを選んだ時にきちんと褒める、そんな風に子育てをしていくことが一番の近道かなと思います。
思っているより早い時期から始めるのがよく根付かせるツボですので、2歳のイヤイヤ期が過ぎたらスタートでいいと思います。