私がトマティスのコンサルタントになった訳 その2

このホームページを新しく作った時に何から書こうかな、とネタ出しした中にこのタイトルの「その1」がありました。
大抵自分の事は後回しになるものです。私も日々の仕事や、興味深い情報や、あれこれお伝えしたいことですっかり忘れていたのですが、なんと最近ブログを全部読んだという方にお会いし、「その2はどこにもないんですね」とご指摘いただきました。
ひゃー、ありがとうございました、すみません、という気持ちで続きを書きます。

(前回のあらすじ)30代半ばでそれまでやっていた仕事が完全に解散となり、家庭内も微妙になった私は当時日本に導入されたばかりのトマティス聴覚トレーニングを受けました。週三回、二時間のトレーニングをセンターまで受けているうちに、なんとなく気分が軽くなって来てことを感じました。

さて、そんなある日。家で夫に話しかけました。夫はそれに返事をしました。二、三回やり取りして、二人同時にハッとしました。「私たち、普通に話してる」。

実は夫も同時にトマティスのトレーニングを始めていました。私は「真似しないでよ」というトゲトゲした気持ちでしたが、夫は夫で「すごいストレスなので何かでケアしたい」という思いがあったのだそうです。
二人が各々別な日時にセンターに通って二時間過ごしていたのですね。

子どもを持ちたい私と、離婚家庭が原因なのか父になる自信がないと言う夫。
それまでの仕事も一緒にしていた仲間でもあり、まあ感情的にお互いこじれていたのです。
お互いに相手の言葉は聴きたくない、自分の話は全く聴いてもらえない。
そんな煮詰まった夫婦の状態が、あれれ? なんか違ってるよね?

お互いに理詰めな似た者夫婦です。この原因は、どう考えても今受けているトマティスのトレーニングしかあり得ない、と言う結論に(会話をしながら)達するまで時間はかかりませんでした。

これが36歳の時。
その後私は60時間のトレーニングを終え、追加のトレーニングを受け、発声の特別コースも受け、さらに実験としてフランス語のトレーニングとロシア語のトレーニングを受け、トマティスコンサルタントのコースを受講してトマティス実践者となりました。
都内のセンターで修行的に仕事をし始めた1998年、ちょうど妊娠しましたので一度トマティスメソッドを離れて出産育児に埋没して、息子が小学校に入ってから仕事を再開いたします。

さて、このころの私を今の私の知識で眺めると。

夫という特定の人の声、言葉、話が、大きく私の感情を揺らしていたのがわかります。
「彼の声は聞きたくない、彼の話すことは聞きたくない、彼のいうことは耳に入れたくない(なぜなら嫌な内容または嫌な気持ちになることでしかないだろうから)」
こんな風に感じていたと思います。
それは、聴くこととマイナスの感情が直結してしまっていますし、しかも予測して判断してしまっていますね。「きっと嫌な内容または嫌な気持ちになることでしかないだろうから」、と、カッコの中で書いていますが、正確に聞けていませんし、聞こうともしていません。感情の方が先立ってしまっています。

嫌なことが家の中にある、という点で、ストレスも高かったことも思い出します。夫がいつ何か言ってくるかもしれない、という、トゲトゲした、怒りや疲労感でいっぱいでした。

私はたまたまトマティスの聴覚トレーニングに出会い、たまたま夫も同じトレーニングに出会い、自分にも夫にもとても良い効果があったのでそのまま実践者の道を歩むことにした者です。
それ以前に大学院で学んでいた臨床心理の知識が、この私の気持ちの変化に対して大きな興味を引いたことも今に至る原因の一つです。
音楽をヘッドホンで聞いただけなのに、なんでこんなに気持ちが変わるの?? ということは、今でも尽きない研究の泉です。

ステイホームの暇つぶしになれば幸いです。読んでくださる方のために続きも近々書きましょう。