聴覚過敏とは?
その2
聴覚はメンタルの影響を一番受けやすい感覚だと言われています。そして外から来るストレス防御のために色々な仕組みを持っています。
今日は音の取捨選択について書きます。
そもそも、私たちはありとあらゆる音の洪水の中から聴くべき音を選び出し、その音以外を聴かないようにして日々生活しています。この音の取捨選択にはカクテルパーティー効果と言う名前もついていますね。
「音の取捨選択」、これはとても高度な機能です。
補聴器は劣って来た聴覚を補います。その人が聴きづらいと感じる周波数の辺りをよく聴こえるように設定します。すると確かにその辺りの音は大きく聴こえます。けれどその中から聴きたい音を取捨選択する機能までは補ってくれませんので、「補聴器を入れたのにうるさいだけ」となることもあるようです。
自閉症スペクトラムの子供たちの中に、音の取捨選択不全を持っている子たちがいると言われています。
駅前のような騒がしい場所での会話を録音すると、会話そのものよりも周囲の雑音がずいぶん大きく聴こえます。自閉症スペクトラムの子供たちはこんな風に聴いている、と言う説明をお聞きになったり読んだりしたことはありませんか? 耳鼻科的には聞こえているのに聴いていない、周囲からすると不思議に感じられるそんな状態は、音の取捨選択不全である可能性があるのです。
静かな場所なら落ち着いているが集団場面が苦手、個別なら学習もよく進むけれど教室ではぼーっとしてしまう、そんな状態の子たちの中には、音の取捨選択不全を起している場合も大変多いのではないか、と私は考えます。音の洪水の中で、よりどころとなる「聴きたい音」が見つからなければ、耳は焦点を合わせる機能を育てることが大変難しくなります。
色々な音の中から自分の聴きたい音に焦点を当て、他の音は消して聴く耳の機能 : 音の取捨選択不全を、トマティス®聴覚トレーニングでケアした人の50〜70%の方が改善を感じていらっしゃいます。
メンタルと音、音の取捨選択の起す悪さ、について、その3に続きます。
聴きたいと思った音に焦点が合うのです。当たり前じゃないの、と私達は感じますが、じつはそこには「気持ち」による選択や拒否が混ざっているので、話はややこしくなるのです。