不安と聴覚

コロナウィルスはここから1,2週間がパンデミックになるかならないかの瀬戸際だから一人一人ができるだけ他人と接触しないように、という政府の方針。間違ってはいませんし、会社のリモートワークはこれを機に国内でも進む事でしょう。けれど今回の方針には学校や子供関係の言葉が大変薄いと感じました。

若者の重症化がまだ見られないことも理由でしょう。そして学校教育は一度止めるとその分取り戻すのがとても大変である事、まだ学校教育を家で実施できるほど日本ではIT化が進んでいない事、休みにして家で子供達がおとなしくできるかという心配、共働きの場合はその子たちの面倒を見るために誰かが休まなくてはならなくなる不便、東京だと公立中学は期末試験期間、この辺りが言い出さない理由かもしれません。

けれど、狭い教室にぎゅうぎゅうに押し込められて受ける授業は、誰かが保菌していたら逃げようのない環境です。千葉の中学、北海道の小学校、石川の中学での発症が今後どうなるか。心配です。

さて、不安な時の聴覚は一体どうなっているのでしょうか?

緊張感は今まで交感神経系を活発化させると言われていました。しかしアメリカのポージェス博士が多重迷走神経理論を2000年代に入ってから発表し、緊張、不安、恐怖によって、二つの副交感神経系の古い方が活発化する場合もある、との理解が進みました。この「副交感神経系の古い方」とは、緊張、不安、恐怖によって凍りついたり、乖離したりする反応を示します。
恐ろしいことに対して、戦おうとしたり逃げようとするのが交感神経系の働き方です。
同じことに対して、その場で動けなくなり、場合によっては意識だけがちょっと現実感を失う。これが副交感神経系の古い方の働き方です。

お子さんがコロナウィルスのニュースを見ながらちょっとぼんやりしている感じがあったら、もしかしたらすごい恐怖を感じていて凍りついているのかもしれません。ご自身が同じニュースを見続けていてだんだん気持ちが動かなくなっているとしたら、同じシステムが働いてしまっているかもしれません。

足りないのは、安心感です。感じられなくなっているのは現実感、今ここにいる自分の身体と意識、という感覚です。
こんな時は聴覚も、ちょっとぼんやりするか、逆にちょっと過敏になるかしていると思われます。

安心な場所で椅子やソファに座ってください。
足の裏を床の上で少しだけ前後に動かし、地に足がついていることを確認してください。
両手を合わせて少しこすって見ましょう。ここにあなたの両手があります。
両手でご自分の体をあちこちパタパタ優しく叩いて見ましょう。ここにあなたの体があります。
頭も両手で撫でてあげてください。恐怖を感じている時、首から上の緊張が上がっていることが多いです。
両耳も少し揉んであげましょう。
頬も揉みましょう。口角から耳にかけての表情筋は鼓膜の神経とつながっています。緊張が緩めば鼓膜はいつも通りに動きやすくなり、聴覚の変調も取れやすくなります。
あとは自分の身体で気になるところを、優しく撫でたり引っ張ったりしてあげてください。だいぶ身体の感覚が戻って来ると思います。
ここまでくれば呼吸も少し楽なはず。両手を胸に当てるか、両脇に当てるか、頬に当てるかして、ゆっくり吸って体が空気で膨らむのを感じ、ゆっくり吐いて体が縮むのを感じてください。
苦しくない程度に2,3秒から5,6秒かけて鼻からゆっくり吸って、同じくらいかけて口からゆっくり吐くようにするだけでも不安は下がると研究にあります。やって見ましょうね。

不安は聴覚にも影響します。
身体の感覚を取り戻し、少し不安には小さくなってもらって、免疫力を上げていきましょうね。