ADHDの衝動性が強い子たちは、頭でルールを分かってても瞬間的に守れないことが多いです。
ASDの子たちだと、頭でルールが分かっててもマイルール優先になって守れないことが多いかな。
かれこれ18年、いや、聴覚トレーニングセンターを始める前から独特な子たちの家庭教師をしていたのでもう40年以上、本当にいろいろな子を見てきました。
守れないルールはどうしたら守らせることができるのか?
ママと本人のバトルになっているのも見たし、パパと本人の力比べになってるのも見たし、知恵比べでうまくいったケースもあったし、みんながヘトヘトになっているのも見たし、子供の方が力で強くなったら立場が逆転したのも見てきました。
まず、力で押さえつけるのはやめましょう。
それが必要な子は、本当に言語で理解ができない、考えることがしっかりしていない、それくらい心の発達がゆっくりで幼い子に対してだけだと私は考えます(そういう子達に対しても諦めずに理解できるように成長を促すことはとても大切です)。
力で押さえつける親子関係は、子供の方が腕力的にまたは言葉的に力をつけてきた時にほとんどの場合「今までの分の仕返し」が返ってくるのではないかと私は考えます。危うい関係です。
みんなのルールはソーシャルスキルトレーニングなどで効率よく学ぶことができます。本もたくさん出ていますので、探してみてください。
けれど、最初に書いたように「ルールは知ってる、でも守れない」時もあります。
じゃあ私たちはどうしてルールを守るのか?
みんなが守らないといけないと思っているからです。
なんでいけないと思ってるんでしょう?
みんなが守っているから今のシステムが支えられているとどこかで理解しているからです。
スーパーで、棚からお菓子を取ってその場で袋を開けて食べる。
小さい子だとあり得ますね、3歳、4歳、辺りかな。
場面に出くわしたママやパパ(バーバやジージ)は当然叱ります。
「これはお金を払っていないからまだ君のものではない。勝手に食べてはいけない」と説明もするでしょう。
この流れでどこを拾うかは、その子の理解度次第です。
「叱られた!!」それが怖かったからもうしないと思う子もいます。
「お金払ってないから」ってところを理解して、なるほど、とやらなくなる子もいます。
「自分のものじゃない」ってところに反応する子もいるかな、あれはまだ食べちゃダメなんだな、いいって言われないのはダメだな、とかそんな感じで。
だんだんやらなくなるのは、叱られたくないからか理由がわかったからか、どちらかだとおもいます。
大きくなっても衝動性の強さやマイルールの強さがあると、理由がわかっても、やりたい気持ちが勝つことがあります。悩ましいですね。
特に新しい刺激に弱いタイプの子たちは、自分の気になる新しいそれをどうにかして手に入れたいまたは思いを遂げたい、と大変強くおもいますので、ご家族も大変です。
さらに、大きくなると叱るのがだんだん効かなくなってくる感じ、あるのではないでしょうか?
聞き流されちゃうとか、また怒られたーって流されちゃうとか。
良心というものは、その子の中に「みんなのルール」が根ざして成長して、自分のルールや衝動性より強くならないと生まれてこないかなと書きながら考えています。
ではもっとそこを強くするにはどうしたら?
今までやってきて男子に一番ヒットするのは「かっこよさ」「ヒーローっぽさ」で物事を測ることです。
その行動は「かっこいいか?」
その言い方は「かっこいいか?」
やるやる言っててなかなかやらないのは「かっこいいことなのか?」
ハッとする子もいますので、試してください。
女の子に一番ヒットしているのは「素敵さ」。小さい子なら「プリンセスっぽさ」。
その行動は「素敵かしら?」
その言い方は「プリンセスっぽいかしら?」
やるやる言っててなかなかやらないのは「素敵なことかしら?」
興味深いことに女子の方が手強いです。主に躾ける人がママなので、女子同士の力関係も関わってくるのだとおもいます。
素敵が通用する男子も当然いますし、かっこよさが通用する女子も当然います(本来ジェンダー論的にはこういう書き方したくないのですが、ヒット率があまりに性差で違うので)。
あと、禁止ばかりでは牢獄みたいな生活になります。
その子の衝動性を思いっきり発揮していい場所やチャンスもぜひ考えてあげてください。
以前来ていた子がエレベーターのボタンを押すことに衝動を抑えられず、ママもパパも大変苦労していましたが、「一日オフィス街みたいなところに行って『押し放題』の日を作ってあげたら」とアドバイスしたことがありました。やったかどうかはそういえば聞き忘れましたが、ご両親のハッとした顔は忘れられません。
みんなのルールを守れるようになるためにどうしたらいいか、また思いついたら書きます。