聴覚過敏と言うコトバが認識され始めて来ていますが、ではどう対処するかと言う点については「イヤーマフを」「気持ちを落ち着けて」「静かな場所に」と当事者の子どもたち大人たちに対して「我慢」を進める方向以外が見えて来ません。
聴覚過敏はケアが可能です。
ただし、聴覚過敏とひとまとめにされている中に色々な「聴覚への気になり方」があるので、聴覚過敏と言う言葉そのものがきちんと定義されていません。出版されている本に「聴覚過敏 仕組みと診断そして治療法」デービッド・M・マグリー/ゲルハルト・アンダーソン著 中川 辰雄 訳 2012年 海文堂 がありますが、この本の中でも体系的に「聴覚過敏」を定義することには大変難航しています。
音が痛みに感じる人もいます。
嫌な音なのに、目をそらせられないみたいに耳が離れず、聴き続けてしまう人もいます。
雑音への過敏性が高くなってしまって、本来聴くべき音に集中できない人もいます。
音声処理の持続時間が短い人もいます(聴いてて耳の中が満杯になるとこぼれちゃう感覚だそうです)。
自閉スペクトラム症などを持っていて、こだわりの音がするとそっちに耳が向いてしまう人もいます。
逆にこだわりの音がマイナスの感情と結びついてしまい、またあの音がするのではと、いても立ってもいられなくなって不安症状や怒りを表現する人もいます。
どの人であっても。今、音のことで不快に思い、傷ついていることは同じです。
音のことは音から外す。それがトマティスの聴覚過敏ケアです。
鼓膜が張りつめて聴覚過敏を起こしている人は、鼓膜の張りと弛みの2つの筋肉を動きやすくしてあげることで過敏が下がります。
予期せぬ音への鼓膜反応の悪さから聴覚過敏を起している人(自分の声は大きくても平気なのに、周囲に対して静けさを要求する人が多いです)は、やはり鼓膜の張りと弛みの二つの筋肉のトレーニングに効果があります。
音トラウマから聴覚過敏を起している人は、トラウマ音の減感作(嫌な感情が発動しないくらい少しずつ色々な音と共に問題の音にさらして過剰反応だったと脳に気付いてもらうこと)から過敏が下がります。
音のアンバランスから聴覚過敏を起している人は、その音によってボリュームが違って聴こえる点を解消することで、ぐっと過敏が緩和します。
不安が強く、予期不安から聴覚過敏を起している人には、トレーニングの音楽のような絶対に安心して聴ける音があると言う事実で、音に対する不安が減ることもあります(本当に不安が強い場合は心理教育もプラスして行きます)。
そしてここは、一人一人の、音のことで傷ついてきた気持ちを、大変だったね、ツラかったね、頑張ったね、と受け止めて上げられる場所です。
聴覚過敏を疑っている人たちは、皆さんどうぞ一度来て体験して下さい。ずいぶん変わった解決方法がここにはありますよ。