自閉スペクトラム症児/者へのトマティスメソッドの効果、と言うキーワードで世界の論文を眺めて見ました。ご興味おありでしたらどうぞ。
12年間実践している私としても、実感としては下に出てくる論文の通りです。ただし、エビデンス(実証性、証拠)のしっかりした研究がまだ少ないため、トマティスメソッドはABA、TEACCH、認知行動療法などの様に心理療法としてきちんと認めてもらえていないのが日本での現状です。やはりエビデンスが大切。
微力ですが、書き始めた修士論文で少しでもその辺りにインパクトのあるものを、と考えています。
トマティス資料1
ケーススタディ20歳のクライアント コミュニケーションディスオーダー、感覚過敏、不安障害、に対するトマティスメソッド 2016南アフリカ
評価Pre-post比較 スピールバーガーTrait Anxiety. スピールバーガーState Anxiety. ベック鬱Inventory.
全検査で効果あり
トマティス資料2
4〜8歳、34人の自閉的症状緩和へのトマティスメソッドの効果研究。2013 テへラン
トレーニング前後比較 GARSギリアム自閉レイティングスケール
コントロール群と比較して有意差あり。下位検査としてステレオタイプな態度、コミュニケーション、ソーシャルインテラクションで大きな効果が出た。
トマティス資料3
ケーススタディ18歳アスペルガー。OCD、不安に対するトマティスメソッド 2013イギリス
他のセラピーも足した上で不安改善
トマティス資料4
100人のアスペルガーとトマティスメソッド 2005アメリカ
評価Pre-post「アビリティto be improved」102項目 1.アカデミック、思考、学習、2.注意・集中、3.行動、4.クリエイティビティ、5.対人関係成長、6.個人内の成長、自己を知り、表現すること、7.ウェルビーイング、8.リスニングとスピーチ、9.読む書くスペリング(日本語なら漢字書き取り)、10.ムーブメント、スポーツ、リズム、11.音楽的発声的スキル、12.リラクゼーションの12項目を調査。
個人内の成長、リスニングとスピーチ、アカデミックスキル、注意・集中、で80パーセント以上の親が改善を感じた。
トマティス資料5
トマティスのすでになされた35個のリサーチの横断的研究 2009アメリカ
60パーセントの自閉児が恩恵を受けている
トマティス資料6
重度自閉症児6人へのケース研究 2001南アフリカ
Pre-post CARS(子供オーティズムスケール)で比較 50パーセントに効果、特に前言語領域(共同注視、非言語コミュニケーション)に効果あり
トマティス資料7
ASDの子供達へのリスニングトレーニング方法適応結果 1997アメリカ
言語の遅れ問題、ディスレクシアを含む学業の遅れ問題に特に効果があった
読んだ方、お疲れ様です。詳しくお読みになりたい方、英語でよろしければ tomatis.comのホームページのRESOURSESからResearch and publicationsをお選びになると読むことができます。