グレーゾーンの子たちもこの18年間でたくさんみてきました。
「いっそ、はっきり分かるほど強い特性がある方が良かった。そうしたら支援も受けやすいのに」と仰った保護者の方もいました。言いたくなる気持ちも痛いほどわかりました。
グレーゾーンの子たちは、グレーの色が薄ければ薄いほど定型発達の子に近づきます。
つまりなんとなく「みんなと同じようにできるはずなのにおかしいな?」と学校の先生も保護者も、本人さえも思うことが増えるのです。
勉強面でだけ「なんだかできないこと」が多いと、定着するまで何度でもやることが日本では推奨されてしまいます。
生活面でだけ「なんだかできないこと」が多いと、「いうことを聞かない子」「ちゃんとできない子」「ルールを守れない子」としてみられてしまいます。
誰も「本当はそんなにできなくて、だから困っているんだ」と感じてくれないところが、苦しみです。
焦りにつながる子もいます。
しつけの問題かと思って厳しくしてみる親もいます。
頑張らせようと思ってしまう先生もいます。
つらいです。
最近はそんな子に「WISC-Vの検査をしてみましょう」ということも増えました。
内的な認知能力がとてもアンバランスな子もいます。
自分の中のできることとできないことでこんなに差があったら、君は苦労しているだろう、とわかります。
内的な認知能力にそれほどのアンバランスがなくても苦労している子もいます。
そこじゃないところに君の苦労の根っこがあるんだね、この辺かなあ、と考えながら私は所見を書きます。
気持ちのケアとか、感覚のケアとか、体の使い方のケアとか、本当はもっと色々な方面から抱えている苦労が楽になる子たちもいっぱいいます。
私の聴覚ケアもその一つ。
良い呼吸と聞くことと話すことを通じて、気持ちをケアしたり、集中を伸ばしたり、認知能力を上げたり、過敏さを下げたり、色々なことをしています。一人でも苦しんでる子が減るといいなあと思いながら。