歳をとることで、聴覚は翳りを見せます。
けれど、いきなり聴覚が低下する人は稀で、多くの人は「脳が聞くことをサボる」のだそうです。
以前老眼が酷くなってきて、「もう見ることを楽しめなくなったんだなあ」と思ったとき、「1日3分で目が良くなるガボール・アイ」と言う本を買って、目のトレーニングをしてみたら、あら?見やすさが上がった?? と言うことがありました。この本の説明に「目は『見えづらい』と凝視することをサボる」とあり、おお、それは耳も同じですよね、と激しく同意しました。
「聞こえにくいな」「聞こえなかったけど聞こえたふりしちゃえ」「聞き返すのはカッコ悪いからだいたいこんな話してるんだよね」「聞こえてないけど笑ってましょ」みたいなメンタリティに時々なるあなたは要注意です。まだ聴覚はそれなりに残っているのに脳が「しっかり聞くモード」「聞き取りモード」を諦めている状態に陥っているからです。
聞こえの悪さは認知症の重大因子でもありますから、取り戻せるうちに取り戻すことはとても大切なのです。

70代、80代の方もトレーニングにいらっしゃいます。
「だんだん耳が悪くなってきた」、「聞き間違いが増えた」、「聞き取れない音が出てきた」、「大勢いるところや騒がしい場所で会話が成り立たなくなった」、「夫の声が聞きにくくなった」色々な方がいらっしゃいます。「補聴器を買ったけれどしっかり聞こえないからトレーニングしてみたい」と言う方もいらっしゃいました。

先日トレーニングを受けられた70代の方は、「トレーニングを家で受けることとセンターでいろいろ話を聞いてもらうことで、とてもリラックスできましたし、聞き返すことが減ったみたい。そういえば集音器(相手の声をマイクで受け取り大きくして聞かせる機械)も使わなくなりました」と仰っていました。

私自身ももう60代。マッチの「補聴器カッコ悪くないぜ」というポスターが街に貼られて、多くの同年代が聞こえのことで困り始めたことを感じます。
時々、同年代向けにメッセージを出していこうと思います。