子供たちのように両手で耳をふさいだり、「うるさーい」と大声を出したりできないので、大人の聴覚過敏の方々は毎日ずーっと我慢し続けています。お疲れ様です。
私のところにいらしている大人の聴覚過敏の方は女性が多いのですが、それは男性が我慢し続けているからかもしれません。聴覚過敏は、みんなは平気なのに自分だけがそこでの音に対して耐えられない状態です。自分が他人と違う、と言うことを認めるのは社会人になると大変勇気のいることであることです。
いつ終わるのかわからない我慢は、積もっていき、大きなストレスになります。
呼吸も浅くなり、体が緊張します。
音を気にしたくないのに、逆に音のことが頭から離れなくなったり、常にこの場所の音は大丈夫だろうかと気にし続けたりしてしまいます。
音は恐怖になり、音がするだけで体が震えるほどつらい、小さな物音でもしているとつらい、家の外はいつどんな音がするのかわからないから怖い。そんな風に追い詰められてしまうこともあります。
そんなに音が辛くなっている時、トレーニングで聴く音は大丈夫なのか、そうお問い合わせいただくこともあります。
聴覚過敏ケアは、安心して聴ける音がある、と言う事実を思い出す旅です。
ご本人がつらくない範囲からトレーニングを始めます。
トレーニング音楽のボリュームが一番小さくてもうるさく感じられる方もいました。ヘッドホンと耳の間にティッシュなど挟んでいただいてみました。
聴き始めて2,3分で不快感を感じられる方もいました。不快感を感じた時点でその日のトレーニングはお休みするか、2,3時間あけてまたチャレンジするようにトレーニングの形を変えました。
聴覚は目で見ることもできなければ、他人との比較も難しい感覚です。
その方がつらいのであれば、それはつらいのですねと私は受け入れ、その方がつらくない方法でトレーニングを続けられないかと探ります。
ボディワークの方法、呼吸の方法、体の緩め方などのアドバイスもしますし、メンタルのケアも取り入れます。
他の感覚の過敏がないかどうかも調べます。
「体の緊張があると、耳の中も緊張しているため聴覚が過敏になりやすい」そんな聴覚の仕組みなどについても学んでいただきながらトレーニングを進めます。
聴覚過敏の方はとても真面目な方がほとんどです。
今すぐ改善したい、と訴える方、焦っている方がほとんどです。
けれどその焦りは、体の緊張を生み、心の視野の狭さを生むことがあります。
「少し長い時間をかけて、緩めてあげましょうね。今までかなり我慢してきていますからね」とお伝えしながら、大人の聴覚過敏ケアは進めていきます。
その方のテンポで。
その方の体と心が理解し納得できるスピードで。