明けましておめでとうございます。皆様に取って2018年が楽しく充実した年になりますように。

年明け最初になにを書こうかなと考えていたのですが、音痴について書きましょう。

Hさんは大変な音痴でした。
Hさんのお母様も「私は音痴、洋楽は苦手」と仰る方だったそうです。では音痴は遺伝なのか?
音痴そのものが遺伝すると言うより、「聴く力」は長い時間一緒にいる人から学んでしまう可能性がありそうです。トレーニングの結果Hさんの音痴は解消しましたので。

音痴にはいくつものパターンがあります

タイプ1は、音がズレるタイプ。
1-1自分の出している音の高さが解らない、
1-2聞こえている音の音程が解らない、
1-3他の音を聴くと「なんか高いかも」「なんか低いかも」とつられてしまう、
その結果、歌は調子はずれになります。

1-1の自分の出している音の高さが解らない人は、聴く力の中のモニター力が弱いと言うことです。よく聴く事が苦手なタイプです。高低感が育っていない人、音階の感覚が育っていない方が含まれます。
1-2の聞こえている音の音程が解らない人も、高低感や音階の感覚がまだ育っていない場合が多いですが、それ以外に、音の処理と分析が苦手な人、瞬間的に分析できない人(分析に時間がかかる人)、音の記憶が厳密すぎて今聞こえている音とのズレを修正しない(できない)人も含むでしょう。
1-3の他の音を聴くとつられてしまう人には、「なんか高いかも」「なんか低いかも」と聞こえた音の雰囲気に自動修正してしまう、つまり自分の音より聴こえた音の方を尊重しすぎるためにいつまでも上手く「聴く力」が働かない人もいます。ハーモニーの感覚がまだ育っていない人です。

曲の最初は上手く歌えていても、途中からズレる人もあります。これは音への集中時間が短い人(処理量の限界)、感情の高まりとともに聴く事を忘れるタイプ(発声のための筋肉コントロールが弱い)がいらっしゃいます。

Hさんに歌ってもらうと、1-1、1-2、1-3の3つとも持っていることが解りました。
Solution1-1まず自分の出せる音の範囲を知る必要があります。ピアノの鍵盤で考えると、大体低い声の男性なら下の下のファから下のド、高めの声の男性で下のドから真ん中のファ、低めの女性の声で下のファから上のファ、高めの女性の声で下のラから上のラが出せます。出しやすい音域は狭い人で一オクターブ、普通は2オクターブ、幅広い人で4オクターブなど色々ですが、歌が苦手な方はまずそんなに広い範囲をカバーしようとせず、自分の普段の喋り声がどれくらいの音なのか知る必要があります。
聴覚トレーニングで「聴く事」そのものへの意識を覚醒させると同時に、一番聴き慣れているご自分の話し声を良く聴き、話し声にもピアノの鍵盤状で示すことができる音程が存在するという認知を育てるところから発声指導は始まりました。

続く