聴覚過敏は子どもたちだけのトラブルではありません、大人の方もいらっしゃいます。

耳鼻科では異常なし、けれど音が聴こえすぎて困る、ウルサすぎて疲れる、怖い音がある。大変な思いをしていらっしゃいます。

男女を問わずどの方も、肩から首・頬・耳にかけてがちがちに固まっています。ここが緊張していると、鼓膜を引っ張る筋肉も緊張して緩まなくなり、音に対する過敏性が上がってしまう様です。ですので、耳周辺から繋がっている体の緊張を意識し、解きほぐす方法をお伝えします。

呼吸も浅く早くなっています。何か新しい刺激があるとき(物音がするとか、誰かが話し始めるとか)、大抵呼吸が止まっています。息が止まってますよ、とお伝えすると、ビックリなさいます。聴覚チェック中に呼吸の問題は解りますので、引き続き呼吸のケアをお教えすることにしています。

大勢の方に指導している内に1つ気がついたことがあります。呼吸を小さくしている方々の多くは、胸一杯息を吸い込むことがマイナスの感情と結びついていると言うことです。

本来、人の感情と言うのは瞬間瞬間どんどんめまぐるしく変わる物です。プラスの感情ばかりではありません、マイナスの感情もたくさんあります。どこかを押さえつけていると、当然体に反応が出ます。呼吸が止まっている人たちの中にも様々な感情が押し殺されているようです。

胸いっぱい息を吸い込むことは、様々な感情の時に出て来る体の反応です。例えば恐怖で叫ぶ直前、私達は胸一杯に息を吸い、そして叫びます。例えば怒りで大声で怒鳴る瞬間、私達は胸一杯に息を吸い、そして怒鳴ります。悲しみで大泣きする直前も、胸一杯に息を吸うでしょう。

体の反応(この場合は呼吸)が1つの感情(この場合は恐怖や怒り、悲しみ)と強く結びついてしまい、それを呼び覚ましたくなくて体の反応(呼吸)をブロックしてしまうこと、そしてその結果苦しい思いをしていることもあるのです。

けれど。

小さい子が家の外に出て胸一杯に息を吸い込む時、ここには恐怖や怒りではなく、嬉しさ、開放感、気持ちよさが詰まっています。

大人でも、天気のよい休日に緑の多い場所や海岸に行って思わず胸一杯に息を吸い込む時、これは恐怖や怒りではないですね。

そんな風に体の誤解を理解し解きほぐしながら、聴覚過敏ケアは進みます。 最近流行の認知行動療法的なアプローチだ、と感じます。