トマティスメソッドでは聴覚を三つのゾーンに分けて考えます。
第1のゾーンは体のゾーンです。低周波がこれにあたります。体は全ての土台ですので、「聴く力が弱い」「会話がうまく無い」「考えるのが苦手」「気が散りやすい」「もっと勉強してほしい」「友達とうまくやってほしい」などなどのトラブルは、まずこの第1ゾーンを整えてから、という話になります。
体が整うとはどういうことかといえば、まず感覚の過敏や苦手さなどのトラブルがないか、ということ。そして筋肉の動きはちゃんとしているかということ(耳の中にも筋肉がありますからね)。質の良い睡眠はしっかり取れているか、食べ物の消化吸収はちゃんとできているか、気持ちがすっきりしているか、呼吸はゆったりと柔らかくできているか。こういうことも関わる場合はあるでしょう。
それらすべてが解決して初めて「言語や勉強のために集中する準備ができる」と言えると思います。
多くの場合最初のトレーニングにはこの第1ゾーンへ主にアプローチするプログラムを使います。センターに来ていただいたということは、聴覚なりコミュニケーションなりに何かを感じているということです。調べさせていただける時には聴覚をチェックします。多くの人は全体的にバランスが崩れています。これを言語のゾーンだけ直そうとしても、土台である体の部分がしっかり整っていなければ、大変不安定な状態にしかなりません。
語学でお願いしたのになぜ音楽を聴くのか、と大人の方から問われることがありますが、こういう理由があるからなのです。
聴覚過敏も「特定の周波数が苦手だと思うんです」「こういう音が嫌いなんです」とおっしゃる方が多いのですが、この第1ゾーンを整えることで改善の見られる子どもも多くいます。